CROSS TALK
Vol.
03
地域密着型の特長と
これからの薬局
MEMBER
佐野元彦
代表取締役社長
藤田良彦
佐野薬局広面店薬局長・ブロック長兼務
阿部南美
佐野薬局本店 3年目薬剤師
聞き手
佐々木駿
佐野薬局城東店・新卒採用・広報業務
サノ・ファーマシーはどのような会社でどのような仕事をされていますか?
阿部
佐々木
阿部さんは、新卒でサノ・ファーマシーに入社されたと思いますが、入社の動機を聞かせてください。
阿部
サノ・ファーマシー入社の理由は、経営信条にある「親戚のように接する」に共感したからです。また、総体的に他の薬局にくらべて、温かい雰囲気があると思います。
私が就職活動している時のスタッフさんのやりとりを思い出しても、丁寧な受け答えが印象的で、このような会社で働きたいと思いました。
佐々木
藤田さんのお仕事内容をお聞かせください。
藤田
私が所属している佐野薬局広面店は、新人の教育部門も兼ね備えており、サノ・ファーマシーに入社してくれた薬剤師、管理栄養士、医療事務のみなさんに、”おもてなしの心を持って接遇してくれる”人財になってもらえるよう教育を担っております。
佐々木
佐野社長には、サノ・ファーマシーの社風やスタッフについてお聞かせいただけますか?
佐野
現在のサノ・ファーマシーは、色んな面で歴史の積み重ねの成せる技かなと感じています。
先輩たちが地域の方々を思い、接し、社員全員で同じように接することができるような社風にしてくれてきたと思います。
また地域の方だけではなく、社内の仲間に対しても「思い」を持って、接することを積み重ねてきたからこそ、優しさがあって、思いやりの心あふれる社風になっていると思います。
佐々木
佐野社長から見て、どのようなスタッフが多いですか?
佐野
入社していただいているスタッフの共通点は、専門知識や能力が長けていることもありますが、それ以上に周りの方に対して優しいとか、明るく接している方が多いと思います。
入社して先輩たちと接するうちに、立ち振る舞い、話し方、伝え方、考え方などを身に付け、自然と”サノカラー”になっていっているんだと思います。
佐々木
佐野社長が社長に就任される前と現在では社風の変化や、社員のみなさんの雰囲気は変わっていますか?
佐野
私が社長に就任したのは、父が亡くなった32歳の時でした。それから36年が経ちます。
当時は農薬・工業薬品の卸売部門と薬局の3店舗(本店・サノドラック・牛島店)でした。農薬と工業薬品の販売・配達が多く、男性メンバーが女性メンバーより多かったです。
その当時から、社内外の融和はとれてて、「佐野薬品の人たちって、人柄がいいよね」ってよく言われてました。ノルマがあって売上をあげなきゃというガツガツさはなく、取引先のお役に立つことであれば、ご注文いただく・いただかないに関わらず、やれることはやりましょう。そんなスタンスのスタッフが多かったです。
佐々木
そういう意味では、今も昔も社風は変わっていないのですね?
佐野
男女の比率は違えど、「人っこのいい人たち」が集まっているな、という感じはありました。
それは、昔から培ってきた社風と先輩たちがそういう雰囲気を醸し出していたからこそ、時代が変わった現在でも、同じ社風になっていっていると思います。
当時はスタンスの違う方が入社してきても、慣れずに離職するケースもありましたが、今は離職率はものすごく低くて、職場の雰囲気はすごく良い状態だと思っています。
佐々木
ここ数年で入社してくるスタッフに、どのような印象を抱かれていますか?
佐野
新入社員のみなさんには、入社当初、本音トークで座談会をやってもらっています。
「何でサノ・ファーマシー、佐野薬局に決めたの?」って聞くと、「雰囲気が良さそうだから」って言うんです。私からすると、何かえらく弱い志望動機なぁって(笑)思うんだけど、でも、入って実際に働いてみると「本当に雰囲気が良いいです」と大体みなさん言ってくれます。
それってやっぱり長年サノ・ファーマシーが培ってきた風土・社風なんだなぁって思っています。
地域に根付いてる事だったり、地域貢献がサノ・ファーマシーの強みだと思いますが、どのようなことでしょうか?
阿部
通町の”三角屋根の薬局といえば佐野薬局”という印象も強いみたいで、ふらっと寄られ、相談していくケースが多いです。
初回訪問の方に対しては情報が全くないので、腰を据えて、丁寧にお話を伺っています。そういうお一人お一人への丁寧な対応が地域に根づいていると思っています。
佐々木
具体的にどのような話を伺って、お話されているのですか?
阿部
生活の状況、困りごとなど、今の状況をお伺いするだけではなく、これから先のことを想定して、最善の対応策をお伝えしたり、在宅サービスの導入を手助けしたり、自然と先のことまで見据えて接していることがサノ・ファーマシーの強みであり、地域貢献つながっていると思います。
藤田
私は、ブロック長と薬局長の立場から、佐野薬局の各薬局を回らせてもらっています。他の調剤薬局の薬剤師と比べて、サノ・ファーマシーのスタッフは”多角的視点で患者さんと接し、観察できている”と思います。
上からブロック長がいて、管理薬剤師がいて、薬剤師がいる三角形だと中々視野が広がらないと思います。サノ・ファーマシーは、その逆三角形で下からブロック長・管理薬剤師・薬剤師がいて、その先に患者さん、その先に患者さんの家族がいて、その先に患者さんの関係者がいる。※
佐々木
具体的にどのような対応ができていますか?
藤田
例えば、あるご高齢の患者さんの薬の数が多かった場合、一包化をドクターに提案することで、ご家族の方が薬を管理する時間が短縮され、その分ご家族は違うことに時間が使うことができます。
サノ・ファーマシーの薬剤師の全員が、患者さんだけではなく、その先の患者さんのご家族のことも考えて提案する、その先をしっかり見ることができるのが、サノ・ファーマシーの強みであり、ご家族、地域に対しても貢献につながっているのだと思っています。
佐々木
佐野社長にお伺いします。
サノ・ファーマシーというグループ会社が10年後20年後も地域貢献活動は続くと思いますが、具体的な展望はございますか?
佐野
サノ・ファーマシーが230年続けていられるのは、経営理念にある「人々の健康で快適な生活に貢献することを通じて、全社員の物心両面の幸福を追求する。」という、「健康」だけではなく、「快適な生活」、かつ病気とか疾患とかという言葉は使わず、「生活」と掲げているのも、広く地域のことを捉えているからだと思っています。
佐々木
「快適な生活」とはどのようなことをイメージされていますか?
佐野
「快適な生活」とは、地域に対していかに役に立てるかということです。
それは、私たちの薬局の仕事だけではなくて、共に地域のために頑張っている人も応援し、その人たちの、快適な生活、元気な地域を一緒につくっていきたいなと思っています。
佐々木
具体的な事例を教えてもらえますか?
佐野
例えば、サノ・ファーマシーが秋田ノーザンハピネッツを応援しているのも、スポーツを通じて秋田の人たちに楽しさと元気を与えたい、そういう活動も、サノ・ファーマシーと切り口が違うけど、自分たちがやっていることと同じだと思っています。
芸術・文化的な活動も含めて、お一人一人の生活を快適にしたい、力強いものにしたい、楽しいものにしたい、そういう思いを大切にして、応援しているということが大事だと思います。
そういう姿勢を地域の人たちが見て分かってくれているから「佐野薬局って、お薬を渡すだけの存在じゃないよね」と評価をしてくれているのだと思います。
佐々木
佐野社長が考える「薬局の存在」とはどのようなことですか?
佐野
病気の治癒だけではなく、病気にならないように予防し、「健康で快適な生活」を送れるためにサポートをする存在が薬局だと思っています。
そういう意味では、7〜8年前から管理栄養士の採用に力を入れています。
お薬の力だけではなく、生活習慣の改善に対する取り組みもしてきました。
経営理念の「健康で快適な生活に貢献する」という事と、薬局ビジョンの「地域の健康生活支援ステーションになる」これを実現する時にきたなと感じています。
この経営理念と薬局ビジョンの2つは十数年前から言い続けてきましたが、いよいよサノ・ファーマシーの出番というか、私たちがやってきたことが評価される時代になったなと、思っています。
佐々木
それで、近年、薬剤師だけではなく、管理栄養士の採用に力をいれているのですね。
佐野
管理栄養士の方も食事だけではなく、運動のこともある程度勉強してきたと思いますが、運動の専門知識や技術を持った方が仲間に入っていただくことも考えなきゃいけないかなと思っています。
保険調剤、処方箋調剤を薬局がやるようになって、薬局の立ち位置が変わってしまったような気がします。
昔は調剤薬局という言葉は無かったですし、今は、「調剤はやるけど、普通のお薬とかサプリメントとかは販売しません」とか、「お薬の相談、疾患に対するアドバイス、食事に関するアドバイスは、やっていません」という薬局もあると思います。
佐々木
これからの薬局は地域にとってどんな存在になっていくと思われますか?
佐野
昔の薬局に戻ると思います。
昔は、何かあったらまずは薬局にいって相談するのが普通でした。薬剤師は「街の小さな科学者」と言われています。薬局に行って、薬剤師に相談することで解決できた事がたくさんあったはずです。
そういう昔の「町の薬局屋さん」に戻っていくと思っています。
ですので、地域の皆様から求められることに、しっかりと対応できる機能をサノ・ファーマシーは持っていたいと思っています。
佐々木
ありがとうございます。阿部さんは地域貢献について、どうお考えですか?
阿部
いま、地域貢献の一環で「健康フェア」を開催する予定で企画を進めています。
薬剤師・管理栄養士が持っている知識や情報を外に発信して、聞いてもらえる場を作っていかなければならないと考えています。
私自信、このような取り組みはやってみたいと思っていましたし、企画している段階ですが、すごい自分自身好きだなと思っています。
今までも、先輩方が、毎年「健康フェア」を開催していて、毎回100人以上の地域のみなさんが来場してくださっています。そのくらい、参加してみたい方はたくさんいるんだなと感じます。
そういう地域のみなさんのためになることを、たくさん企画して開催していきたいです。
佐々木
それは素晴らしい取り組みですね。
藤田さんはどう思われますか?
藤田
ここ1年で感じているのが、管理栄養士の「栄養相談」、「栄養指導」によって患者さんが健康になっている姿をなん度も見るようになってきました。
佐々木
それは凄いですね。具体的にどのようなことをされているのですか?
藤田
お医者さんから診察を受けて、糖尿病やコレステロールの薬について、「何日分ですよ、こういう飲み方ですよ」とお伝えたとしても、患者さん自身の役立て治癒はできているとは思うのですが、生活習慣の治癒まではできていません。
そこに管理栄養士が入ることで、「食事はこういうレシピで食べてください」、「運動はこれくらいを毎日やりましょう」というようなアドバイスをすることで、体重が4キロ、腹囲が2センチ減ったりとか、われわれ薬剤師がやってきたことって何だったんだろう?っていうくらい、栄養相談・栄養指導でガラッと変わってしまう力があると思います。
佐々木
それは凄い良いことですよね。
私も、「薬剤師」×「管理栄養士」の体制が充実しているのはサノ・ファーマシーの魅力だと感じています。
これから、薬局はどのように変わっていくと思われますか?
藤田
薬局単体ではなく、薬局全体で、今よりもっと薬剤師と管理栄養士が協力し合って、連携するということが重要だと感じています。
それによって、減塩で塩の摂取量が減って、高血圧が改善され、薬を飲まなくて良くなる。そんな未来がもしかしたら、われわれ薬局を通じて広がっていくかもしれません。
昔は、お医者さんに、患者さんのがんばりを極端にフィードバックすることができていなかったのですが、今は、「管理栄養士からこういう指導お伝えしているので、経過を観察してください」という情報提供だったり、トレーシングレポートをあげることで、お医者さん側も、次の診察に活かせますし、患者さんも含め、全体的に良い方向に繋いでいくことができると思います。
佐野
薬剤師や管理栄養士だけではなく、地域、ドクター、看護師、ケアマネージャー、ホームヘルパーとか、それぞれの強みを出し合って、情報をシェアして、みんなで連携をとることでより「快適な生活」を過ごすことができ、ひとりの方、ご家族、地域を支えていく。そんな時代になっていくと思います。
藤田
地域全体で情報をシェアしていくってことですよね?
佐野
主治医の先生が目の前の患者さんとの診察や対話だけで判断していたことが、その患者さんが行っている薬局から、服薬の情報だけでなく、生活習慣、食事の情報などが共有され、シェアされ、連携することで、更に良くなっていくと思います。
そういう意味で、薬局の可能性って広がっていますよね。
未来志向のお医者さんと話す機会が多く、そういう新しい取り組みの話が上がっていて、「健康維持のためのHUBの入口を薬局がやるべき」だと、医者、デバイスセンサーを開発している方とか、大学の先生たちから提案を受けています。
薬局は、ふらっと入れて相談に乗れます。一番最初の入口が薬局になる、そんな風になっていくと思います。
佐々木
サノ・ファーマシーに入社して3年目で、現在は佐野薬局本店に所属し、薬剤師として、常に患者さんの思いに共感し、寄り添いの姿勢で働いています。
佐野薬局本店は、総合病院やクリニックの近くにあるような門前薬局ではありません。でも、通町近隣ではない違うエリアにお住まいの方にも通っていただいている薬局だと感じています。
そういった意味では、いろんな相談にのってもらえるような薬局であると思いますし、今後、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師を担う上では重要な薬局であると感じています。